1942年のBillboard R&BチャートNO.1ヒット(YouTube)
List of Harlem Hit Parade number ones of 1942(Wikipedia)
序
たとえばシカゴ・ブルース一本で聴き込むと決めていたとしても、当時シカゴの街で流れていた音楽-ラジオ、ジュークボックス、レコード屋の宣伝、街のバンドのカバー、いろいろな形があるだろう-の存在は無視できない。いわゆるメインストリームの音楽と、ローカルなそれは、相互に作用し合っていたはずだ。しかし、リアルタイムのアメリカに生きていない我々には、それを実感できる機会が当然少ない。
その機会というのを人工的にせよなんとか作ってみたいというのがこの企画の趣旨だ。その体験を踏まえて、「この時期はスウィングが流行っていたから、ブルースでもそのノリを導入してるんだな」とか解釈していく作業を個々にやっていければよいと思う。
レビュー
と、言えるほどのことが自分にできるとも思わないが、何かのとっかかりとして、このプレイリストを聴いて感じたことや、個人的に見つけた補足のようなことを書くようにしておきたい。あまり面倒にして続かないと困るので、箇条書きで。
企画そのものは、冒頭に示したYouTubeプレイリストと、Wikipediaの記述を参照してもらうだけで成立している。ので、以下はおれのブログというのが位置付けとして正しいだろう。
・Harlem Hit Paradeという名前が示すとおり、billboardのこの「R&B」チャートというものは、ざっくりいえば「黒人街のレコード店やなんかでよく売れた」ということを判断基準にしているらしい。
というのは、全体の売上チャートの中から「R&B」というジャンルを抜き出すというふうに作ると、それはただの全体チャートの縮刷版にしかならないし、さらに「R&B」というジャンルにその曲が当てはまるかどうか、という判断が運営に委ねられる以上、恣意的なランキングになってしまうから、のようだ。まあ、正確なところはこの本を読んでほしい。めちゃくちゃ面白いので…。
・だから、Ella Rae MorseやBing Crosby(!)といった白人歌手の面々がこのチャートに入っているということは、このチャートの正統性を汚すにはあたらない。当時の黒人街で聴かれていれば、このチャートにはランクインするのだ(もっとも、集計に使う店舗での収賄やら何やら、全てが公平に行われているわけではない)と、とりあえず思って読むことになる。
・さて。個人的な感想ということでは、この辺の年代は退屈だった。家で流していて言われたのは、「昔のディズニーみたい」ということで、本当にそのまんまそうだったのだろうけど。今の感覚だと「へー」って感じを超えない。
・まあ、いってみれば、こういうのに慣れておくと、あとあとのスウィングとか、本当のリズム・アンド・ブルースとか、さらにロックンロールなんかが入ってきたとき、「えっ?何これ!?」という、当時の感覚に近しい(かも、と思いたいような)体験ができるわけだ。
その時を楽しみに。
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